全社展開で553時間削減へ。
87万行の買掛照合を“共創”で磨いた4年間。


建築資材の総合商社
#002 株式会社吉田産業

業務部長 兼 IT 業務課長 柴田氏
業務管理課長 根城氏
業務管理課 第2 グループリーダー 藤田氏
IT業務課 佐々木氏

株式会社吉田産業様(以下、吉田産業様)がトッツゴーと出会ったのは4年前(2021年)。

当時はまだ“hub-match(ハブ‐マッチ)”と呼ばれるプロトタイプ段階で、買掛業務の現場が求めるレベルとはギャップがある状態でした。しかし、PoC(概念実証)を通じて議論と検証を重ねる中で、
「内訳明細レベルで照合できる仕組みが欲しい」という現場の思想が少しずつ機能に反映され、

共にサービスを育てていくプロジェクトへと発展しました。

会社名

株式会社吉田産業

所在地

青森県八戸市大字廿三日町2

設立

昭和23年12月3日

事業内容

建設資材、環境資材、土木資材、住宅設備機器の販売および施工、気象情報の販売

利用サービス

クラウド受領・明細突合サービス「トッツゴー」

導入初期の状況と全社への広がり

2025年4月からは、まず9支店を検証拠点として本格運用を開始。

この時点では、

  • 支店ごとに分散していた照合作業を、導入を機に“本部側へ集約したばかり”
  • トッツゴーの操作もまだ不慣れ
  • トッツゴーをフル活用するために必要な基幹システム連携も未対応

という 不十分な初期状態 でした。

それでも、請求書受領後の作業が効率化されたことで、
プロジェクトメンバーが担当しない 15支店分の照合作業も
自然にトッツゴーへ流れる仕組みが整い、月次で9時間の削減が確認されました。

“万全な運用ではない段階でも効果が出た” 点は、現場にも大きな手応えとなりました。
一方、トッツゴーを全27支店へ展開した場合のシミュレーションを行い、
年間553時間の削減効果が見込めるという試算も得られています。

照合精度の向上だけでなく、前工程の改善や属人化の解消など、周辺業務にも大きな変化が生まれています。

本記事では、検証段階から共に進めてきたこの4年間の歩みをインタビュー内容から紐解いていきます。

 
導入前の課題

  • 内訳明細レベルの照合が手作業で、年間621時間の負荷
  • 本社の事務管理課で違算チェックを集約していたものの、 支店担当ごとのノウハウ依存が強く属人化が発生
  • 取引先ごとに運用ルールや提出形式が異なり、 個別対応が積み重なってパターンが膨大化していた
  • 郵便開封・請求書仕分け・問い合わせ入力など前工程に大きな負荷 

 
導入後の効果

  • 照合率89%で手作業が大幅に減り、年間553時間の削減見込み
  • 前工程(締日入力・取引先コードなど)が自動化され、日常業務の負荷が軽減
  • 問い合わせデータ作成が自動化され、支店間の重複チェックも削減
  • 仕入先ごとに異なっていた運用パターンがデータベース化され、
    標準ルールに整理されたことで個別対応が減少し、属人化の解消が進んだ
 背景 

複雑化した買掛業務と、年間621時間の手作業負荷

吉田産業様では、仕入先数が多く、伝票の形式・運用ルールが支店ごとに異なる状況でした。

既存のシステム(NDF)で自動照合できる仕入先は限られており、全体の約26%は手作業での照合が必要でした。

  • 細かい内訳明細の突合が手作業
  • 不一致(違算)発生時の問い合わせデータ作成が手入力
  • 郵便で届く請求書開封・仕分けなど前工程の負荷
  • 支店ごとの記録・運用の属人化
  • 年間621時間にも及ぶ作業負荷

ご担当者様は当時を振り返ります。

「内訳明細まで自動照合できる仕組みがなく、データを“活かす”ところまで到達していませんでした」

 導入の決め手 

“内訳明細レベルの照合”に踏み込める唯一性

トッツゴー(当時はhub-match)を紹介されたのは4年前(2021年)。

「請求書を電子で受け取る」サービスは他にもありましたが、吉田産業様の課題はもっと先にありました。

「内訳明細レベルの照合まで踏み込めるサービスを探していました」

そのような中、PoCでプロトタイプを試用。

最初の試作品は正直「うん…まあまあ」という感想でしたが、
「この方向性なら進化すれば絶対必要とされる」という確信から検証を継続。
現場目線の詳細な照合プロセスを共有することで、
システム側がそれを解像度高く理解し、反映を積み重ねたことが決め手となりました。

吉田産業 取材写真

 導入プロセス 

段階的に仕組みを磨き上げた4年間

導入ステップ 図解イメージ導入プロセスの特徴は「段階的に形にしていった」点です。


STEP1|PoCで“現場の照合プロセス”と“基幹連携の全体像”を徹底理解
  • 現場の業務フローを細かくヒアリング
  • 内訳明細レベルの照合ニーズを共有
  • 「どこを自動化すべきか」を双方で明確化
  • 実データを使い、仕入確定データの入出力まで含めた“現実的な検証”を実施
  • トッツゴーで突合した結果を、最終的にどの形式で基幹システムへ連携すべきか──“連携後の姿”を双方で詳細にすり合わせた
STEP2|UI改善・機能改修の積み上げ
  • フォルダ一覧
  • アイコン改善
  • 締日の自動表記
  • 取引先コードの自動取得
  • 不一致(違算)明細の自動入力機能の実装
  • 基幹システムへ連携するための“突合結果エクスポート要件”の整理と仕様確定

「これは助かる!」という声が出る改善が多数生まれました。

現場の使いやすさだけでなく、“基幹にどうつなぐか”という実務上の重要ポイントも、検証を通じて固めていきました。

STEP3|照合前工程の改善(最も大きな負荷への対応)
  • 吉田産業様では、照合そのもの以上に、請求締日・取引先コードの確認、問い合わせデータ作成など“前工程の作業”が最大の負荷となっていた
  • このボトルネックに対し、請求締日の自動表記・取引先コードの自動取得・問い合わせデータ作成の標準化 を実施。日常業務で発生していた細かな判断作業が大幅に削減され、ストレスが大きく軽減した

「もう幸せ!」「ばっちり!」という声があがるほど、前工程改善の効果は現場にとって大きかったといいます。

 導入後の効果 

数値改善・業務改善・心理的負荷の軽減が同時に進行

吉田産業 全社効果試算グラフ■ 年間553時間の削減見込み

  • 2024年度:全社87万行のうち26%が手作業(621時間)
  • トッツゴー照合率:89%(2025年9月時点)
    ※この照合率は、ユニークキーのない仕入先(型番不定・品名ベース)、手書き請求書の仕入先も含む “全仕入先” を対象とした実績値
  • 手作業は年間68時間にまで圧縮予定 → 553時間削減の見込み

単純な数値ではなく、“突合が極めて難しい仕入先も含めたうえでの89%” である点が大きな特徴です。人手による確認が不可避だった領域まで自動化が進み、全社での削減効果が見込める状態になりました。

■ 9月単月で13時間の削減 ※運用初期の“未定着段階”での成果
  • 照合作業:42時間
  • 郵便開封・問い合わせ入力など 前工程の見直しにより 29時間の負荷が軽減
    ※この軽減は「電子受領の増加」や「運用の整理」によるもので、トッツゴー単体の機能だけで削減されたものではありません
  • 差し引き 13時間の短縮を確認
■ 情報管理の標準化が進んだ(属人化の解消)
  • 仕入先ごとに異なるルールを社内データベースに整理
  • 支店ごとに担当者の判断に依存していた運用が標準化され、属人化が大幅に解消
■ 現場の心理的負荷が減少
  • 明細照合の根拠が明確になり、判断がしやすくなった
  • 「業務全体が軽くなった」という声が複数名から聞かれる状態に

吉田産業 取材写真

 今後の展望 

トッツゴー単体完結と受発注領域の自動化へ

吉田産業様は今後、段階的に導入範囲を広げたいと考えています。

「まずは社内で安定運用を実現し、ゆくゆくはグループ会社にも広げていきたい」

また、将来的にはトッツゴー単体で買掛業務を完結できる構造の再設計を目指しています。
さらに、FAXで届く注文書をテキスト化して発注データに変換するなど、
受発注領域の自動化にも期待が寄せられています。

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