【業種別】BCP対策の事例を紹介|企業が取り組むべき理由、策定方法を解説
こんにちは。「FNX e-受信FAXサービス」ライターチームです。
災害や感染症の流行に備えてBCP対策をこれから策定したい、あるいは既にあるBCPを改善したいと考えている企業様は多いと思います。そのなかには、現在BCPはどれくらい普及が進んでおり、実際にどのような効果が得られているかを知りたい方も多いでしょう。
そこでこの記事では、最新のBCP対策の策定状況や、企業の取り組み事例などをご紹介します。
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目次[非表示]
- 1.BCPとは
- 2.企業におけるBCPの策定状況
- 3.BCP策定が必要な理由とは
- 4.BCP対策で企業が取り組めること
- 4.1.中核事業の分散化
- 5.【業種別】BCP対策の取り組み事例
- 6.BCP策定のチェックリスト【企業向け】
- 6.1.人材面でのBCP対策チェック項目
- 6.2.経済面でのBCP対策チェック項目
- 6.3.物資面でのBCP対策チェック項目
- 6.4.情報面でのBCP対策チェック項目
- 6.5.総合面でのBCP対策チェック項目
- 7.FAX受発注業務のBCP対策に有効なFNX e-受信FAXサービス
- 8.まとめ
BCPとは
BCPは「Business Continuity Plan」を略したもので、日本語訳では「事業継続計画」を意味します。地震・台風・噴火など自然災害をはじめ、火災・テロ・感染症といった不測の事態や、大規模システム障害などの緊急時、事業継続や早期復旧を図るための対策です。
BCP対策における具体的な取り組み内容としては、BCP計画をまとめたマニュアルの作成、事業継続を見据えた拠点の分散化やテレワークの実施などが代表的なものです。また安否確認手段の確立、避難訓練や防災訓練の定期実施、データ管理手法の見直しなども含まれます。
日本はことさら自然災害が多い地域であるため、BCP対策と聞くとまず災害への備えを連想する方も多いでしょう。もちろんBCP対策には、自然災害時の行動計画も含まれています。しかしそれに加えて、火災や感染症禍、システムやネットワークの大規模障害といった、あらゆる緊急事態へ対応するための計画が、BCP対策にはまとめられています。
企業におけるBCPの策定状況
BCP対策は、2004年に新潟県で発生した中越沖地震で企業が受けた被害とその復旧対策が高く評価されたことを機に、重要性が認識され始めたといわれています。2011年の東日本大震災でも、各企業が事業を止めないためさまざまな取り組みを実施したことが大きく報道され、覚えている方も多いでしょう。
内閣府の「令和元年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」を参照すると、企業のBCP対策の実施状況を調べた項目があります。それによると、2007年(平成19年)の時点で「BCP対策を策定済み・または策定中」と回答した企業は、大企業35.3%、中堅企業15.8%と比較的少数でした。しかし最新の2019年(令和元年)の調査では、大企業83.4%、中堅企業52.9%と大きく増加しています。
上記の調査では、業種別のBCP対策策定状況もまとめられています。早期から策定率が高めだったのは、金融業・保険業など顧客自体や彼らの個人情報が重要な資産となる業種や、情報通信業などです。また、事業が停止すると人々の社会活動に深刻な影響を及ぼす製造業も、早急にBCP対策を実施する傾向にありました。
それに対し中堅・中小企業の多いサービス業は、この先まだまだ策定率を向上させる余地のある状況であることが分かります。
BCP策定が必要な理由とは
なぜ、BCP対策の策定が企業に必要なのでしょうか。端的には、緊急事態によって事業停止を余儀なくされると、企業はさまざまな面で損失を生んでしまうためといえます。
ここでは、BCP対策の必要性について、さらに具体的にご説明します。
事業を止めず、万一停止しても早期再開を実現するため
緊急事態の発生は予測できないため、現場は突然のことに気が動転し、適切な行動に移ることが遅れる可能性もあります。しかし、万一のときにすぐ最善の行動をとるためのマニュアルがまとめられ、事前に訓練が実施されている状態であればその限りではありません。
緊急時に優先すべき事項や、具体的にとるべき行動をまとめた計画が周知されていることで、被害の拡大を未然に防げる可能性が高まります。また、被害を最小限に抑えられればスムーズな事業継続や早期復旧にもつながるでしょう。
企業の信頼性確立やイメージの向上
緊急事態により事業停止に追い込まれると、顧客や取引先へも深刻な影響を与えてしまいます。しかもその原因が、とるべき行動をとらなかったためと分かれば、企業そのものの信頼失墜を招く可能性もあるでしょう。
またBCP対策を整備することには、平時におけるメリットもあります。それは、緊急時も事業継続を見据えて取り組める企業であるというイメージにより、顧客や株主からの信頼を得やすくなることです。
有事に際しても経営を止めず、適切な対処が可能な企業であるという評価を得られ、取引先として選ばれやすくなる可能性もあります。
BCP対策で企業が取り組めること
BCP対策=計画を立ててマニュアルを作ることというイメージをお持ちの方が多いかもしれません。しかし、BCP対策の一環には、事業体制の見直しや改革など具体的な取り組みも含まれます。
ここでは、BCP対策のなかで企業が取り組むべき具体的な取り組みをご紹介します。
中核事業の分散化
現在、事業の中核を都市圏などにある1つの拠点に置いている企業も多いでしょう。しかし関東・関西・東海といった大都市圏では、大地震をはじめとする大規模災害の可能性が指摘されています。
このため、本社機能の一拠点集中を見直し、地方部を含む複数の拠点に分散させる取り組みも、BCP対策の一環として有用です。1つの拠点が緊急事態に見舞われた場合も、他の拠点が代わって事業を継続できる可能性を高めておきましょう。
従業員の安全のためのテレワーク推進
テレワークは働き方改革だけでなく、緊急時における従業員の安全確保にもつながります。分かりやすい事例として、2020年からの新型コロナウイルス感染症禍において、テレワークの推進によりビジネス現場での感染拡大防止が図られた件があります。
自然災害発生を想定した際も同様で、仮にすべての従業員が1つのオフィスに集まって業務を行っている場合、受ける人的被害も大きくなる可能性があるでしょう。
テレワークを導入・推進することは、緊急時も人的被害を最小限に抑えることにつながります。もちろん、働き方改革にともなう多様な働き方の実現にも有用なため、生産性や業務効率の向上も期待できるでしょう。
データバックアップ体制の確立
社内の重要データを常時バックアップしておくための取り組みも、BCPの一環にあたります。データの保存先が1か所だけだと、その拠点が有事の際に被害を受けてすべてのデータを失ってしまうおそれもあるためです。
重要情報や機密情報の消失はビジネス面での損失に加え、企業の信頼性やイメージを大きく損なうことにもつながります。一拠点でデータが使えなくなっても他拠点でカバーできるよう、複数の箇所に分散してバックアップデータを確保しておきましょう。また、クラウド上にデータをバックアップしておくことも有効です。
また、電子データではなく紙で保管されている資料がある場合は、紛失や破損・汚損による消失を防ぐため、速やかに電子化を進めましょう。
時短勤務・時差出勤の導入
出退勤の定時を決め、それに沿ってすべての従業員が働いている企業も多いと思います。しかし、時短勤務や時差出勤を取り入れ各スタッフの出勤時間帯をずらすことで、緊急時の人的被害抑制が可能です。
時差出勤の導入は、昨今の新型コロナウイルス感染症禍でも積極的に実施されてきました。オフィス内の密集を防止することに加え、通勤ラッシュの回避にもつながるため、感染リスクを二重に予防できます。
もちろん、時短勤務や時差出勤は従業員の働き方改革にも有用なため、ワークライフバランスの実現も期待できるでしょう。
生産・サプライチェーンの復旧体制
BCP対策を特に重視する業種として、製造業が挙げられます。製造業では生産拠点や開発拠点が複数ある企業も多く、BCP対策の推進で得られる効果は高いでしょう。
ある生産拠点が災害に遭っても他の工場が代わっても生産を行える体制を整備するなど、事業継続や早期復旧の具体的な方策を設けておく必要があります。
また製造業の場合、取引先などが被災して事業が滞ることも想定されます。その際に依頼が可能な代わりの仕入先や取引先についても、計画のなかに盛り込む必要があるでしょう。
【業種別】BCP対策の取り組み事例
各企業のBCP対策では、どのように具体的な取り組みを行っているのでしょうか。
ここでは、BCP対策の一環として実施している各社の取り組み事例を、業種別にご紹介します。
製造業のBCP対策
部品加工をおもに行っている企業の事例です。この企業では、生産拠点における製造ラインの停止を回避することに重点を置いたBCP対策を行っています。想定される被害内容には建物の破損や設備の故障のほか、生産済み製品への被害なども挙げられています。
これらを踏まえ、策定したBCP対策の具体的な内容は以下のようになっています。
- 安否確認と被害状況確認
- 継続生産を想定した在庫の確保
- 被害にともなう自社他拠点での代替生産手段確保
- クラウドを活用した重要データのバックアップ
- 他社への代行生産手段の確保
これらの対策を行うことにより、生産状況を常に把握して見直すことで平時における業務課題の洗い出しも行えました。それらを見直すことで業務改善にもつながったほか、代替生産に関する準備を行うことで、他拠点や他社とBCPを通じた連携が生まれたそうです。
仕入れ販売会社のBCP対策
仕入れ販売を専門に行う商社の事例です。緊急事態の際も自社と仕入先、そして販売先との間で情報をすばやくやり取りし、迅速な対処を行える状況を整備することをおもな目的としてBCP対策を実施しました。
被害状況としてオフィス・倉庫など建物の損傷、情報機器の破損などを想定し、この企業では具体的に以下のような取り組みを行っています。
- 被災拠点の早期復旧への集中
- 拠点間のICTによる相互連携
- 被害状況の確認と速やかな他拠点への業務移管
この対策で重点的に行った取り組みは、ICTの活用による拠点間の相互連携による協力体制の構築です。これにより緊急時にも他拠点への業務移管をスムーズに実行でき、被災したオフィスは集中して復旧作業を行うことが可能となります。
このケースでは、FAXによる受発注業務をデジタル化するといった取り組みも有用になるでしょう。
飲食業のBCP対策
大型施設内にテナントとして入店している、カフェ店舗における事例です。テナントで入店している各店舗は、基本的にビルの規定に則って緊急時の対策を行います。
たとえば防災訓練も、ビル全体の合同訓練などに参加する形となる場合が一般的です。しかし、被災によって店舗業務が止まってしまわないよう、可能な取り組みを自店舗で行うこととしました。
自店舗の範囲内で行えるBCP対策の一環として導入したのが、被災後のインフラ復旧までの目安期間内に、十分な電力を確保できる「防災タワー」と呼ばれる設備です。
防災設備とはいっても、カフェに調和するデザインの製品を取り入れて雰囲気を確保。イメージを損なわずに適切な備えを実現するとともに、訪問するお客様やビル関係者の安心感にもつながっています。
BCP策定のチェックリスト【企業向け】
BCP対策を策定する際は、必要な項目をきちんと定めているか都度確認しながら計画を進める必要があります。要点を押さえたチェックリストを活用し、それぞれの計画を漏れなく立てられているか確かめながら作業を進める方法も得策でしょう。
ここでは、実際の計画時にも使えるBCP策定のチェックリストの見本をご紹介します。企業や店舗でのBCP策定時に、ぜひお役立てください。
人材面でのBCP対策チェック項目
- 緊急時、従業員の安全や健康を確保するための具体的な行動計画はできているか
- 業務にあたれなくなった従業員の代行が可能な人材を育てられているか
- 避難訓練や人命救助に関わる訓練(心肺蘇生や応急処置など)が定期実施できているか
- 災害発生時においても各従業員と連絡を取れる手段を確保できているか
経済面でのBCP対策チェック項目
- 災害によって一定期間事業が止まった際の経済損失を具体的に予測可能か
- 被災からの復旧を踏まえ、1か月程度の運転資金が常時確保できているか
- 現在の保険の損害補償範囲が適切かを専門家と確認できているか
- 復旧を目的とした利用が可能な融資制度を把握できているか
物資面でのBCP対策チェック項目
- 建物や設備の耐震性や、風水害への耐性を把握できているか
- 緊急時に備え、事業代行や生産代替、材料調達代行などの手段が確保できているか
- 拠点周辺の災害リスクをハザードマップなどで確認し把握できているか
- 設備や備品の流動状況を目録などで管理し、常時最新の状態が確認可能か
情報面でのBCP対策チェック項目
- 必要な情報について最新のデータをバックアップできているか
- 自拠点以外の場所にもバックアップデータを保管できているか
- 事業に欠かせない機器が損傷した際の代行手段を確保できているか
- 顧客や取引先との連絡先を緊急時にすぐ活用し情報を受発信できる状態としているか
総合面でのBCP対策チェック項目
- 緊急時に自社の事業がどのような状況に直面するかすぐに想定可能か
- 企業のトップが業務にあたれない場合、指揮を代行できる体制を構築しているか
- 取引先や関連企業、地域住民などと緊急時に相互連携できる体制が整えられているか
- 緊急時に行える業務が限定的となった際、継続や復旧を優先すべき業務が把握できており、そのための具体的な計画が立てられているか
FAX受発注業務のBCP対策に有効なFNX e-受信FAXサービス
WEBなどで受発注を行っている企業もあれば、FAXでの受発注が中心の企業もあります。FAXによる受発注を行っている場合、ある拠点が緊急事態になった際、その拠点で受け取ったFAXの受発注処理ができないというケースも想定されます。
受発注業務が停止されると取引先への影響も大きいため、緊急時でも滞りなくFAX受発注を行いたい場合に有用なのが、以下にご紹介する「クラウド型FAXサービス」です。
BCP対策に最適なクラウド型FAXサービス「FNX e-受信FAXサービス」
FNX e-受信FAXサービスなら、FAXによる受発信データをクラウド上で管理でき、24時間365日どこからでも確認可能。PCでインターネットに接続できる環境が整っていれば、他の拠点のFAXもオンラインでFAX受発注業務を行えます。
万一の災害などで、ある拠点のFAXの機能が使えない状況になった場合に有用であることに加え、平時のテレワークや在宅勤務への柔軟な対応も実現できるサービスです。FAX受発注が欠かせない企業様にとっては、BCP対策と働き方改革の両立にもつながるでしょう。
まとめ
災害や感染症などの緊急事態は、私たちにミスや落ち度がない状況でも突然降りかかってくる予測不能なものです。何も起こらないに越したことはありませんが、平時であるからこそ万一への備えを整えておくことは大切でしょう。
業務手段のICT化を進めるなかでも、つい見落としがちなのがFAX受発注の代替手段確保です。さまざまな業務がICTによって代替できるなか、FAXの代わりがないことで思わぬ損失を招くおそれもあります。
FAX受発注を行っている企業様で、BCP対策の策定や強化をお考えの場合、ぜひFNX e-受信FAXサービスの活用をご検討ください。
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